不動産売買契約の手付解除について!手付解除の方法もご紹介
悩んだ末に不動産の購入を決めたものの、より良い条件の物件が見つかったため売買契約をキャンセルしたくなることもあります。
それとは別に、売主の方の都合で手付解除によるキャンセルを申し入れられることもあるでしょう。
今回は、不動産の売買契約における手付解除とは何か、手付解除の方法や仲介手数料は発生するのかについてご紹介します。
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不動産の売買契約における手付解除とは
手付解除とは、不動産の売買契約を締結するときに納めた手付金を放棄、あるいは倍返しすることにより契約そのものを解除できる条項のことです。
売買契約を結んだあとでも、違約金の形で手付金を扱えば契約を解除できます。
売主の方の都合で契約を解除するケースと買主の方の都合で解除するケースでは手付金の扱いは異なるものの、どちらも手付解除です。
手付解除は売主と買主双方の合意によって設定する
手付解除の条項を定めるときは、契約締結後いつまでなら手付解除ができるのかを手付解除期日として設定する必要があります。
これは、売買契約の締結日から手付金以外の残代金を決済する日までの日程をもとに、売主と買主双方の合意にもとづいて決めなければなりません。
民法上では契約の履行に着手するまでが手付解除期日であるとしていますが、このままでは不明瞭なため具体的な期日を当事者間で決めるのです。
一般的には売買契約の締結から決済までどれだけの期間があるかによって期日の長さも異なります。
たとえば、売買契約から決済まで1か月程度しかなければ残代金の支払いから7~10日前まで、3か月程度であれば契約から1か月後まで、半年近く時間があるなら契約から2~3か月後まで、といった具合です。
残代金の決済前に内金の支払い日を設けていると、内金の支払いをもって「契約の履行に着手した」と見なされる可能性があります。
そのため、内金の支払い日以降に手付解除期日を設けるのは無用のトラブルを生む可能性があり、避けたほうが無難です。
どうしても双方の都合で内金の支払い日以降に期日を定めるのであれば、支払い後でも手付解除が有効になるよう特約を結んでおく必要があります。
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不動産売買契約における手付解除の方法
手付解除では、売主と買主どちらが原因で契約をキャンセルするかによって手付金の扱いや手付解除の方法が異なります。
まず、手付解除を設定するためには、買主から売主に支払われた手付金が解約のときの担保となる解約手付でなければなりません。
そして、手付解除を実行するためには希望する側がもう一方へと書面で通知する必要があります。
言った言わないのトラブルを避ける方法として、書面は配達証明付きの内容証明郵便で送るのがおすすめです。
具体的な手付解除の方法には、手付放棄と手付倍返しの2つがあります。
この2つの方法がそれぞれどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
手付放棄とは
手付放棄は、不動産の売買契約における買主側が契約のキャンセルを申し込むための方法です。
先に売主に支払った手付金を丸々売主のものとし、返金を諦めることにより契約のキャンセルを認めてもらいます。
売主に売却代金は手に入らないものの、その一部である手付金を自分のものにすることが可能です。
手付解除期日までにもっと良い条件の物件が見つかった、引っ越しの話自体がなくなったなど、理由の如何を問わず契約をキャンセルできます。
ただし、売主の方が何らかの形で契約の履行に着手していたケースでは、対応する特約がなければ手付解除が認められない可能性もあるため注意しましょう。
手付倍返しとは
手付倍返しは、不動産の売買契約において売主側の都合で契約をキャンセルするための方法です。
買主が契約の担保として支払っていた手付金を2倍にして返金することにより、買主に契約の解除を認めてもらう方法になります。
支払った手付金が戻ってくるだけでなく、同額のお金が違約金として買主に支払われるわけです。
単なる返金ではないため売主にとっては大きな痛手にはなるものの、諸般の事情で売却が難しくなったときでも理由を問わず契約をキャンセルできます。
ただし、手付放棄同様、買主の方がすでに内金を支払っていた、残金を用意していたときなど、契約の履行のために動いていると認められない可能性があるでしょう。
そのような状況でも手付解除を有効にするためには、個別のケースに応じた特約が必要です。
手付放棄と手付倍返しはどちらも書面によって通知され、成立後は覚書にその内容が記載されます。
なお、覚書の作成に伴う収入印紙の貼り付けについては不要です。
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不動産の売買契約が手付解除になったときの仲介手数料の扱い
通常、不動産の売買契約が成立したら、売主と買主がそれぞれ自分が仲介を依頼した不動産会社に仲介手数料を支払います。
これは不動産会社にとっての報酬であるため、契約が成立したら支払わなければならないお金です。
では、手付解除によって契約そのものがキャンセルされてなくなったとき、仲介手数料はどうなるのか気になるものです。
売買契約における手付解除後の不動産会社への仲介手数料がどのように扱われるのか、詳しく見ていきましょう。
仲介手数料の支払いは発生する可能性がある
手付解除によって売買契約がキャンセルされても、不動産会社への仲介手数料は発生する可能性があります。
買主の方の都合で契約解約したうえ、それ以上その不動産会社で物件を探さないときなどは支払いを請求される可能性があるでしょう。
このようなケースで不動産会社に手数料の請求権があるかどうかは、明確な判例が出ていません。
不動産会社によっても考え方が異なるため「Aの不動産会社では請求しないものの、Bの不動産会社では満額請求している」といったこともあり得ます。
仲介を依頼する不動産会社が手付解除で契約がなくなったときの仲介手数料についてどのように考えているかは、事前に確認しておく必要があります。
すでに支払った分は返還されないこともある
多くの不動産売買では、契約の締結時と残代金の決済時に50%ずつに分けて仲介手数料を支払います。
手付解除が実施される頃には契約の締結自体は済んでいるため、すでに半分の仲介手数料を支払っていることが多いです。
そのときは、一度でも契約が成立したのだからと手数料を返還しないか、手付解約を売主と買主の当然の権利と捉え全額返還するかは不動産会社によります。
「一度支払われた分は自社の正当な報酬だから」と捉える不動産会社であれば、支払った仲介手数料は返還されない可能性もあるでしょう。
一方で、契約がキャンセルされるときにすでに支払った分の手数料も含めて全額返還しなければならないケースもあります。
たとえば、契約のときに住宅ローン特約を付けており、これによって契約が解除されたケースなどです。
住宅ローン特約では、買主が住宅ローンの審査に落ちたら契約を解除するとしており、このときは仲介手数料も返還することになっています。
また、マイホームの買い替えに伴う買い替え特約が原因で契約が白紙に戻ったときも、同様に仲介手数料は発生しません。
これは買主がマイホームの買い替えのため旧居を売り出しながら購入を進めていたとき、期日までに売却できなかったら購入の契約も白紙に戻す特約です。
これら2つの特約が付いていると、不動産会社は白紙に戻った契約の仲介手数料を請求できません。
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まとめ
売買契約のときに手付解除期日を決めておけば、比較的簡単に契約をキャンセルできます。
買主が契約をキャンセルするときは手付放棄、売主がキャンセルするときは手付倍返しの手続きが必要です。
不動産会社が仲介手数料をどうするかは会社ごとに異なるため、事前に確認をとっておきましょう。
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