相続時の代償分割とは?そのメリットや遺産分割協議書の書き方について解説
親や親族が亡くなると、その方が所有していた財産を相続人が引き継ぐことになりますが、相続人が複数人いる場合は分割する必要があります。
遺産の分割方法にはいくつか種類があり、どの方法を選択するのかを相続人が協議して決めなければなりません。
そこで今回は、遺産の分割方法の1つである「代償分割」とはなにか、その概要とメリット・デメリット、遺産分割協議書の書き方、相続税の計算方法について解説します。
不動産の相続を控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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相続時の遺産分割方法の1つ「代償分割」とは?
まずは、遺産を分割するとはどういうことなのか、またその方法の1つである代償分割とはなにかについて解説します。
遺産の分割とは
相続が発生したとき、相続人が1人の場合は、遺言書で指定がなければその方が被相続人の財産すべてを引き継ぐのが一般的です。
相続人が複数人いる場合は、「法定相続分」で分割するのが基本です。
法定相続分とは、民法で定められた相続割合の目安で、被相続人と相続人の関係によって異なります。
法定相続分はあくまで遺産分割の目安であり、そのとおりに分割しなければならないわけではなく、遺産分割協議によって分割方法を決めることができます。
遺産分割協議とは、相続人全員が集まり、だれが、どの財産を、どれくらいの割合で相続するかを協議することです。
遺産分割協議で相続人全員が合意した内容であれば、それに則って遺産を分割することが可能です。
遺産分割の方法
遺産分割には以下の3つの方法があります。
●現物分割
●換価分割
●代償分割
現物分割とは、財産の形状や性質を変えずにそのまま分割する方法です。
換価分割とは、遺産を売却して得た現金を分割する方法です。
代償分割については、具体例を挙げながら解説します。
代償分割とは
代償分割とは、取得した遺産の金額が多い相続人がほかの相続人に対して現金などで代償する方法です。
たとえば、不動産2,000万円、預貯金1,000万円を兄弟3人で分割する場合で解説します。
この場合、法定相続分どおりであれば、それぞれが1,000万円ずつ相続するのが基本です。
しかし、長男が実家に同居している場合、長男が不動産2,000万円を引き継ぐのが自然です。
次男と三男は預貯金1,000万円を半分に分け500万円ずつ相続したとしても、法定相続分である1,000万円までそれぞれ500万円足りません。
そこで、長男が足りない分の500万円を次男と三男に支払えば、平等に分割できます。
代償分割は、遺産のなかに不動産など分割しにくい財産が含まれているケースでよく見られる方法です。
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相続時に遺産を代償分割するメリット・デメリット
次に、遺産を代償分割するメリットと、注意すべきデメリットについて解説します。
メリット
代償分割の主なメリットは、以下の3つです。
●共有名義を避けることができる
●スムーズに遺産分割ができる
●単独で売却できる
それぞれの内容について、順番に解説します。
メリット1:共有名義を避けることができる
不動産を分割せず、相続人の共有財産として相続するケースもあります。
しかしその場合、新たな相続が発生して相続人が増え権利関係が複雑になったり、単独で売却したりできなかったりと、あまりメリットがありません。
代償分割は、不動産を引き継ぐ相続人を1人に決める方法であるため、共有名義になることを回避できます。
メリット2:スムーズに遺産分割ができる
現物分割では、財産の価値に差がある場合、不公平が生じる可能性があります。
換価分割は不動産を手放さなければならず、現金化するまでに時間がかかることも少なくありません。
代償分割であれば、不動産を残しつつ平等に財産を取得できるため、遺産分割をスムーズにおこなえます。
メリット3:単独で売却できる
不動産を相続した方が、将来その不動産を売却したいと思うこともあるかもしれません。
代償分割では、相続時に財産を分けてしまっているため、名義人の意思で売却することができます。
デメリット
代償分割には以下のようなデメリットもあるため、注意が必要です。
●代償する側に資金力が必要
●代償金の計算でトラブルになる場合がある
●税金が発生する場合がある
どういうことなのか、デメリットの内容について解説します。
デメリット1:代償する側に資金力が必要
先述のとおり、代償分割は、相続人それぞれが取得する相続分に対して足りない分を、財産を多く取得した方がほかの相続人に現金で支払う方法です。
不動産を取得した方が代償する場合、ほかの相続人に支払う代償金を自己資金から準備しなければなりません。
そのため、代償する方にそれなりの資金力が必要です。
相続人同士で代償金の支払い方法や期日などを決めることは可能ですが、支払いが遅れるとトラブルになるため注意しましょう。
デメリット2:代償金の計算でトラブルになる場合がある
代償金としていくら支払うのかを決める際には、不動産の価格を評価する必要があります。
不動産の評価方法にはいくつか種類があり、どの方法で算出するのかによって評価額が変わってきます。
不動産の評価額は代償金の金額にも影響するため、評価方法について相続人のあいだでトラブルになることも少なくありません。
デメリット3:税金が発生する場合がある
代償金を必要以上に多く支払ったり、相続税の申告の際に手続きしなかったりすると、代償金を支払ったことが贈与とみなされる場合があります。
贈与とみなされると、受け取った相続人に贈与税が課されるため注意が必要です。
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相続時の代償分割は遺産分割協議書に明記する
最後に、相続時の代償分割について押さえておくべきポイントとして、遺産分割協議書の書き方と相続税の計算方法について解説します。
遺産分割協議書の書き方
遺産分割協議書とは、相続人全員でおこなった遺産分割協議の内容をまとめた書類で、相続税の申告に必要です。
遺産分割協議で代償分割を選択することに決定した場合は、だれが不動産を相続したのか、そしてだれに代償金をいくら支払ったのかを明記する必要があります。
この記載がないと、先述したように贈与とみなされ、贈与税が課される恐れがあるため、遺産分割協議書に代償分割の内容をしっかり記載することを覚えておきましょう。
代償分割の相続税の計算方法
相続税を計算する際には、相続税評価額を用いるのが一般的です。
代償分割の場合、代償金を支払った相続人は、相続税評価額から代償金を差し引いた金額が課税の対象となります。
一方、代償金をもらった相続人は、相続税評価額に代償金をプラスした金額に相続税が課されます。
たとえば、相続税評価額が3,000万円の不動産を長男が取得し、次男と三男に代償金を1,000万円ずつ支払ったケースで考えてみましょう。
長男の課税価格は、「3,000万円-2,000万円=1,000万円」です。
次男と三男はそれぞれ1,000万円もらったため、課税価格は1,000万円となります。
代償分割は、平等に財産を相続できるように分割する方法であるため、相続税の課税対象も平等になるのが一般的です。
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まとめ
遺産分割の方法には3つの種類があり、代償分割とはそのうちの1つで、財産を多く取得した方が、ほかの相続人に対して代償することです。
代償分割は、代償する相続人に資金力が求められますが、分割しにくい不動産を残したまま、平等に遺産を分割できる点が大きなメリットです。
ただし、遺産分割協議書に代償分割によって代償金を支払った旨を記載しないと贈与とみなされる恐れがあるため、忘れずに記載するようにしましょう。
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