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不動産売却における「減価償却」とは?減価償却費の計算方法と注意点を解説

不動産売却について

東海林 大睦

筆者 東海林 大睦

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不動産売却における「減価償却」とは?減価償却費の計算方法と注意点を解説

不動産売却において耳にする機会が多いのが「減価償却費」です。
そもそも減価償却とは何か、減価償却費に関して注意すべきことなどの疑問を払しょくしなければ、安心して不動産売却に臨めないでしょう。
今回は減価償却の概要をはじめ、減価償却費の計算方法や減価償却費における注意点を解説します。

不動産売却における減価償却および減価償却費とは

不動産売却における減価償却および減価償却費とは

「減価償却」とは、10万円以上の金額を支払って取得した固定資産の資産価値を毎年減らす会計処理のことです。
固定資産に該当するものには不動産をはじめ、自動車や事業で使用する高額な機械などが該当します。
つまり不動産売却における「減価償却費」とは、本来の不動産の価値のうち、年月を経て減少した分が金額で表されたものです。

不動産売却における減価償却の狙いとは

不動産売却における減価償却の狙いは、建物の今時点における価値を適切に反映させることにあります。
一戸建てやマンションなどの建物は、時間の経過にともない損傷や腐食など劣化が進み、資産としての価値は年々下がり続けるのが基本です。
不動産の取得時に支払った費用をまとめて経費計上した場合、経年劣化による価値の下落が適切に反映されません。
そのため、取得するために支払った費用を分割し、減価償却費として経費計上をおこなうのです。

減価償却の対象となる不動産

不動産には建物や土地が該当しますが、減価償却の対象に含まれる不動産は建物だけです。
建物がある土地を含めて不動産全体を売却したとしても、減価償却が適用されるのは建物部分だけで、土地は対象に含まれません。
一般的に経年劣化により価値が下落するのは建物であり、土地は年月を経ても劣化しないと考えられます。
ゆえに不動産を売却した場合、建物は減価償却の適用対象になりますが、土地は減価償却されません。

減価償却費と譲渡所得税の関係性

不動産を売却して利益が生じると売却益(譲渡所得)に応じて譲渡所得税が発生しますが、その際、経年劣化による価値の下落を減価償却費として譲渡所得から差し引けます。
譲渡所得が減額されると譲渡所得税も少なくなり、結果として節税効果が期待できるのです。
譲渡所得税は譲渡所得額に、不動産の所有期間に応じた税率を掛けて算出されます。
不動産の所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」に該当する場合は、所得税と住民税の合計税率20.32%を譲渡所得額に掛けましょう。
一方で5年以下の「短期譲渡所得」では、所得税と住民税の合計税率は39.63%にまで上昇します。
長期譲渡所得と比べると約2倍もの差があるため、短期譲渡所得に該当するケースでは減価償却費による節税効果が重要になるといえるでしょう。

不動産売却における減価償却費の計算方法

不動産売却における減価償却費の計算方法

減価償却費を計算する方法には「定額法」「定率法」の2種類がありますが、基本的には定額法を用いて計算します。
定額法とは、減価償却の対象である不動産などの取得価額を法定耐用年数にもとづいて均等分割し、毎年同額を減価償却する方法のことです。
なお、2007年における税制改正にともない、定額法による計算方法は新しいものに変更されました。
しかし、住まいとして活用している不動産は税制改正前の定額法を用いて減価償却費を計算します。
旧定額法により計算したほうが節税になるため、納める税金を抑えられます。
また、2016年4月1日以降に不動産を取得した場合、届け出をせずに定率法で減価償却費を算出しても認められません。

減価償却費の計算式

不動産売却における減価償却費を計算するには、「建物の購入代金 × 0.9 × 経過年数 × 償却率」の式にそれぞれ該当する数値を当てはめてください。

建物の購入代金

建物の購入代金とは、売却した不動産のうち建物を購入した当時に支払った金額のことです。
建物の購入代金や手数料などを含めた合計金額を当てはめますが、土地もまとめて購入した場合は忘れずに土地の代金を差し引いてください。

経過年数

経過年数とは、建物を購入した時点から売却するまでの年数のことです。
端数は6か月未満が切り捨て、6か月を過ぎていたら1年と換算します。
たとえば購入してから10年3か月の不動産を売却する場合、端数となる3か月は6か月未満になるため切り捨て、10年の経過年数とみなして計算されます。
所有期間が14年7か月であれば、端数にあたる7か月分は6か月を過ぎているため繰り上げとし、経過年数を15年として減価償却費を計算するのです。

償却率

償却率とは、1年が経過するたびに失われる不動産の価値であり、建物の構造や建材、用途によって数値が異なります。
たとえば鉄筋コンクリート造および鉄骨鉄筋コンクリート造の建物は償却率が0.015、レンガ造などの建物は0.018が償却率です。
軽量鉄骨造は骨格材の厚みに応じて3段階に分かれており、3mm以下は0.036、3mm超かつ4mm以下は0.025、4mm以上は0.020となります。
木造および合成樹脂造は0.031、木骨モルタル造の建物は0.034です。
なお、上記の償却率はすべて居住用物件の場合であり、事業に用いる物件の1.5倍と高めです。

譲渡所得の計算方法

不動産売却において譲渡所得が発生し、譲渡所得税を納めなければならない場合は確定申告が必要になります。
譲渡所得が発生するか確認するためには「不動産の譲渡価格 - 譲渡に必要な費用 - 不動産の購入価格 - 減価償却費」の計算式を用いましょう。
計算の結果、譲渡所得が0円もしくはマイナスになったら確定申告をおこなう必要はありません。

不動産売却で耳にする減価償却費の注意点

不動産売却で耳にする減価償却費の注意点

減価償却費に関する注意点は主に2点です。

注意点①建物の取得費が不明な場合

注意点の1つ目は、建物の取得費に関する情報が手元にない場合です。
物件を購入した当時の書類などが一切見つからない場合は、概算取得費をもとに計算しましょう。
概算取得費は不動産の取得費が不明な場合に用いる数値で、不動産売却金額のうち5%が概算取得費に該当します。
ただし、物件の取得費のほうが概算取得費よりも高いケースでは取得費を用いて計算したほうが良いため、安易に概算取得費を用いるのは得策ではありません。
なお、もし取得費が概算取得費よりも安い場合は概算取得費を用いても良いとされています。
実際の取得費と概算取得費のどちらを用いて計算するのが良いかはケースバイケースといえるでしょう。

注意点②不動産売却により譲渡損失が出た場合

不動産を売却したにも関わらず損失が生まれた場合、別の所得との損益通算がおこなわれますが、ケースによっては損益通算できないことがあります。
たとえば譲渡所得のマイナス分は、ほかの不動産を対象としたものであれば譲渡所得から控除できます。
しかし、控除後に余ったマイナス分をさらに給与所得および事業所得などに対して損益通算するのは不可能なので注意しましょう。
ただし一定の要件をクリアした場合は、不動産を売却した年における各種所得との損益通算が可能になります。
さらに損益通算しても損失分が残ったら、その分を翌年から最大3年間控除できます。
不動産を売却した結果、譲渡所得がマイナスになった場合は損益通算の可否を調べてみましょう。

まとめ

不動産売却における減価償却費とは、経年劣化にともない価値が減少したことを示す金額のことです。
減価償却費を出すには、「建物の購入代金 × 0.9 × 経過年数 × 償却率」の計算式を用いましょう。
建物の取得費が不明であれば概算取得費を用いるなど、注意点を踏まえたうえで慎重に対応してください。


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