不動産売却時の契約不適合責任について!トラブル予防の方法も解説
不動産を売却する際には、見落としがちな法律上の責任について不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
なかでも、「契約不適合責任」は、引き渡し後に発覚する不具合がトラブルへと発展する原因にもなり得ます。
売主として、どのような責任があるのかを事前に理解しておくことは、安心して取引を進めるために欠かせないでしょう。
そこで今回は、契約不適合責任の基本的な内容やトラブルを未然に防ぐためのポイントについて解説します。
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不動産売却における契約不適合責任とは
不動産を売却する際には、物件の価値や引き渡し時期だけでなく、売主が負う法的責任の理解も欠かせません。
とくに、「契約不適合責任」は、引き渡し後のトラブルにつながる可能性があるため、事前の把握が重要です。
この責任は、買主が売買契約に基づいて、正当な状態の物件を受け取る権利を保護するもので、売主にとっては慎重な対応が求められます。
ここでは、不動産売却時における契約不適合責任の概要を具体的な事例とともに解説します。
引き渡し後に見つかる不具合への対応
物件の引き渡し後に見つかる不具合は、売主でも事前に認識できない可能性があります。
たとえば、配管の劣化による水漏れや床下のカビなどは、住み始めてから気づくケースが少なくありません。
こうした問題が発覚すると、買主は民法改正によって認められた修補や代金減額、契約解除、損害賠償などを求める場合があります。
契約時に不具合を告知していなかった場合、売主は想定外の負担を強いられることもあるため注意が必要です。
軽微な不具合なら修補で済むことも多いですが、重大な欠陥があれば契約解除に至る可能性もあるため、売主は把握できる欠陥をきちんと説明しておかなければなりません。
また、契約書に責任期間を明示し、不具合が判明した際の対応範囲を明確にすることもトラブルを防ぐポイントです。
建物によくある不具合の例としての雨漏り
中古住宅では、「雨漏り」がとくに問題になりやすいです。
屋根や外壁の経年劣化で、雨水が建物内部に浸入し、天井や壁紙にシミを作ったり構造材を傷めたりする場合があります。
とくに、木造住宅では、柱や梁が腐食して建物の強度に影響を及ぼすこともあるため、雨漏りは深刻なリスクです。
外観からは分かりにくく、入居後に初めて判明するケースも少なくありません。
雨漏りが見つかったとき、売主が事前にその事実を知りながら告げていなかった場合には、損害賠償責任を問われる可能性があります。
こうしたリスクを避けるため、売却前に建物診断(インスペクション)をおこない、契約書に対応期間を定めるなど、誠実な対応が大切です。
売主が負う可能性のある責任とは
契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約内容と異なる場合に売主が負う責任です。
シロアリ被害や設備の故障が契約条件と違えば、買主から修補や代金減額、契約解除、損害賠償などの請求を受けることがあります。
これらの請求は、買主の利益を守るための制度ですが、売主にとっては経済的・時間的負担が大きくなる可能性があります。
そのため、専門家の助言を得て物件状態を確認し、契約書や重要事項説明書で責任範囲と期間を明確にしておくことが大切です。
不動産取引は高額なため、誠実な情報開示が信頼にもつながります。
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契約不適合責任において買主に認められる権利
不動産売却では、契約内容に適合しない物件を引き渡すと、売主は法的責任を問われることがあります。
このとき、買主に認められる代表的な権利を理解しておくことは、売主にもトラブル回避の面で重要なポイントになります。
万が一、不具合が見つかった場合、買主はどのような手段をとれるのかを把握することで、売主は迅速な対処を検討できるでしょう。
ここでは、それらの権利について解説していきます。
補修や損害賠償などの請求が可能
契約不適合責任に基づき、買主は不具合の修補や代替物の提供(追完請求)のほか、状況に応じて代金減額や損害賠償を請求できます。
たとえば、給湯器の故障などが見つかった場合は修補を請求し、それが困難なときは代金を減額してもらうなどの対応が可能です。
買主が必要な補修費を自己負担したあとに、売主へその費用の支払いを請求するケースも考えられるため、売主は事前に契約内容を十分に確認しておくべきです。
重大な不具合がある場合の契約解除
不具合が重大なもので、契約目的を達成できないと判断される場合は、買主は契約を解除できます。
解除には、売主への修補要求(催告)が必要ですが、修補が難しいときは無催告での解除も認められます。
軽微な問題なら解除は難しい反面、耐震性に関わるような大きな欠陥であれば、解除となる可能性が高いです。
このようなケースを回避するためにも、売主は引き渡し前に建物の状態を確認し、買主にも誠実に開示する姿勢が大切です。
責任を問われる条件とその期間
契約不適合責任を行使するには、買主が不具合を発見してから1年以内に売主へ通知する必要があります。
ただし、売主が不具合を知りながら隠していた場合は、この期間が適用されないことがあります。
逆にいえば、売主が故意に隠蔽していない限り、1年経過後は買主からの追及を受けるリスクが下がるということです。
いずれにしても、早期発見と迅速な通知を心がけましょう。
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売却前のインスペクションによる契約不適合責任のトラブル予防
不動産を売却する際には、契約不適合責任をめぐるトラブルを未然に防がなければなりません。
とくに、中古物件では、経年劣化などによる見えない不具合が潜んでいる場合も多いため、売却前の準備が欠かせないでしょう。
その対策として注目されているのが、売却前におこなうインスペクション(建物状況調査)です。
不具合の有無を事前に把握できるメリット
インスペクションをおこなうと、売主が気づいていない欠陥や設備の劣化を専門家が確認します。
基礎部分のひび割れや排水管の詰まりなど、目視では把握しにくい問題も発見できます。
報告書により、不具合の程度や修繕方法などが客観的に示されるため、売主と買主の間で情報共有がスムーズになるでしょう。
売却前に修繕の要不要を判断し、買主にも安心感を与えられるため、売却価格の維持やスムーズな交渉にもつながります。
告知義務を果たしてトラブルを防ぐ方法
不動産取引では、売主が知っている建物の不具合や、過去の雨漏り歴などを買主へ知らせる告知義務があります。
インスペクション結果を反映すれば、告知義務をより正確に果たせるため、引き渡し後の責任追及を避けることができます。
床下の湿気など、細部の問題も事前に把握して契約書に明記することで、後の紛争リスクを減らせるでしょう。
過去に修理歴のある箇所についても、調査報告書をもとに具体的な説明をおこなうと信頼につながります。
インスペクション導入の流れと注意点
インスペクションは、専門機関に依頼して基礎や屋根、外壁、設備などを目視で調査してもらう手順です。
必要に応じて計測機器を使用する場合もありますが、基本的には非破壊検査が中心です。
報告書が発行されるため、売主と買主の双方で物件状態を共有しやすくなります。
費用は一般的に5万円から10万円程度で、任意のため実施するかは売主の判断に委ねられますが、後のトラブル防止策として有益です。
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まとめ
契約不適合責任は、引き渡し後の不具合によって、売主に大きな損害が及ぶ可能性のある重要なリスクです。
売主は、買主の権利や自らの責任を十分に理解し、事前にバランスの取れた対応策を考えておく必要があります。
インスペクションの実施など、トラブルを未然に防ぐ手段を積極的に取り入れることをおすすめします。
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